映画と生活

映画のあるとき 映画のないとき

『リチャード・ジュエル(2019)』/Richard Jewellからの学び

 やるせない。と言うより憤りがある。何のことか。自分の不手際についてだ。

 

 今日カード会社から6月分の請求書が届いた。いつものように明細を確認した。新聞。携帯。Amazon primeNetflix。英会話。スーパー。

 

 いつも通りで何の問題もない。むしろ、外食が減っていることから請求金額は例年以上に少ないことに安堵した。しかし、違和感を覚えた明細があった。「ユーネクストサービス利用料 2,189円」。これまでの明細でも何度か見たような気がする。何だっけこれ。タクシーかな。これまで何回も「タクシーかな?」って思って詳細を調べなかった過去の記憶が蘇る。嫌な予感がする。ユーネクストって、U-NEXTだよな。配信サービスの。知ってるぞ、きみのことは。

 

 いやいや待て待て。全く入った記憶がない。むしろU-NEXTの配信のものは諦めてTSUTAYAにDVDを借りにいってたから。むしろ入りたかったけど金銭的に入ってなかったやつ。やばいなこれ。ホームページに勢いよくアクセスする。ログインを求められる。そうだよな。あらゆるサービスのIDとパスワードをメモしているファイルを確認する。そこにはU-NEXTはない。やはり入ってない、、よな。でもログインを試みる。いつも使っているメールアドレスとパスワードを恐る恐る打ち込む。一発でログインができる。こういう時はあっさり入れるものだ。あーやばいやばい。入ってたやつや。どうしよう。さっそく解約の手続きをする。お願いだから入会したのは最近であってくれ。月々2,189円は痛い。サービスを受けていたならまだしも、全く享受していなかったとしたら痛すぎる。お願いします。

 

 あっさりと解約手続きは完了した。そこには入会日が表示されている。2018年7月とある。もうすぐ2年だ。子供が生まれて2歳になる年月。ざっと4万円以上ををドブに捨てていることに気づいたぼくは、自身に憤りを覚え、自室の天井をただぼんやりと見上げた。見上げても何一つ世界に変化はなかった。

 

 こんばんは。身に覚えがないつながりで、本日はこちら。

 

『リチャード・ジュエル)
Richard Jewell
2019/アメリ

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映画『リチャード・ジュエル』30秒予告 2020年1月17日(金)公開

 

あらすじはこちら

アメリカン・スナイパー」の巨匠クリント・イーストウッドが、1996年のアトランタ爆破テロ事件の真実を描いたサスペンスドラマ。96年、五輪開催中のアトランタで、警備員のリチャード・ジュエルが、公園で不審なバッグを発見する。その中身は、無数の釘が仕込まれたパイプ爆弾だった。多くの人々の命を救い一時は英雄視されるジュエルだったが、その裏でFBIはジュエルを第一容疑者として捜査を開始。それを現地の新聞社とテレビ局が実名報道したことで、ジュエルを取り巻く状況は一転。FBIは徹底的な捜査を行い、メディアによる連日の加熱報道で、ジュエルの人格は全国民の前で貶められていく。そんな状況に異を唱えるべく、ジュエルと旧知の弁護士ブライアントが立ち上がる。ジュエルの母ボビも息子の無実を訴え続けるが……。主人公リチャード・ジュエルを「アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル」のポール・ウォルター・ハウザー、母ボビを「ミザリー」のキャシー・ベイツ、弁護士ブライアントを「スリー・ビルボード」のサム・ロックウェルがそれぞれ演じる。

引用元 映画.com

 

 一夜にして英雄となった彼。彼を自慢に思う母。しかし、自作自演という身に覚えのないことで彼はFBIから疑われ、容疑者としてマスコミに報道される。生まれて初めて得たその栄光は、たった数日にして非情にも奪い去られる。

 

 映画には様々な心の動きがある。

 夢を与える。非日常を体験する。感動し涙する。興奮に歓喜する。大切な人を想う。実話を知り、現実を考える。

 

 今作も含め、近年のクリントイーストウッド監督作品は実話ものが続いている。『アメリカン・スナイパー』『ハドソン川の奇跡』『15時17分、パリ行き』『運び屋』。全て大きな、本当に大きな出来事でありながら、恥ずかしながらぼくはその全てを知っていたわけではない。今作も、ぼんやりと知っていた程度。子供だったから無理もない。でも大人になって何年も経つ今、子供だったことは言い訳にならない。自身の不勉強さに呆れるばかりだ。

 

 実話を知り、考えるとは、まさに今作による映画体験だ。世界で最も怖いものは人間であり、世界で最も優しいものも人間だ。正義は相対的。時にはその矛先が自分の喉元へ向かう。その時ぼくやあなたは前に進めるのだろうか。何気なく生きている現実を真正面から問い直すイーストウッドの実話作品は、コロナ禍で右往左往する今、一度腰を据えてみるのがいいかもしれない。

 

 さてこの映画による学びは以下の通りである。

  •  オスカー俳優のサンドイッチは鮮度が違う
  • お色気でネタをもらうのは万国共通
  • お偉いさんの間食は注視しておく